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豺狼 三章、剣と傷

「豺狼」
 揚華は男をそう呼ぶ事にした。
 そのたびに、手加減無く弄られたが、揚華はやめようとしない。
 男は一切、自らを名乗らない・・・それが悪いんだ。
 揚華はそう思う。
 昼、夜問わず、理不尽な理由で、起き上がることもできないほど殴られた。
 自分はあの時死んだ犬の代わりなのだ。
・・・そう思うと、押さえ切れない惨めさと怒りを感じる。
 そんな頃・・・
 豺狼は揚華に一本の剣を投げてよこした。
「・・・・え?」
「お前は考えた事があるか?」
 豺狼は言葉を続ける
「ここにある金目の物、俺を殺せば、お前の物だ・・・そしたらお前は」
・・・・この生活から抜け出せるのか!?
 揚華の目の色が変わった。ここから逃げたい・・・しかし、逃げたところで
 何も無い揚華には生きていく事はできないだろう。
「その剣はくれてやる」
 男はニヤリと笑った。
「・・・・なんでこんな事」
「そんなことは自分で考えろ・・・いつでも命を狙っていい、だけどな」
「!!」
 目に凄みを増した豺狼に揚華はゾッ!とした。
・・・殺そうとしてもいい・・・だけど、失敗をしたらその時は逆に殺されるときだ。
「解っているみたいだな・・・揚華」
 豺狼は揚華に剣を向けた、遥かに大きく長い剣だ。
「しつけてやると言っただろ・・・少なくともアイツ以上に働いてもらわねえとな」

 外に連れて行かれる。
 稽古だなんて、優しいものじゃない。
 最初に剣を弾き飛ばされたら、後は殴る蹴るの暴力だ。
・・・体中が痛い
 傷は以前にも増して増え、傷がうずいて、終わった後も眠る事さえ間々ならない。
 どうしていいか・・・どうしたら少しでも身を守れるか、
 豺狼を傷つけられるかで必死になったが、間を少し開けられる程度。
 結局は、怪我の上に怪我を増やすだけなのだ。
・・・このままじゃ本当に殺される。
 身が持たない・・・夜中に不意を付いた所で、今では返り討ちにされるだろう。
 逃げても死ぬしかなく、ここにいても死ぬ。
「おれは一体、どうすればいいんだ」
 そんな自問自答で、頭がおかしくなりそうだった。
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