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豺狼 六章、客

 それから、どれだけ季節が巡ったものか・・・
 生活は変わらなかったし、生傷も増えていく。
 自分がどれほど強くなったのか・・・解らない。
 そのぶん、豺狼の手加減が無くなってゆくだけだから。
 自分の姿など、見ることは皆無だったが、
 一度も切らない髪は腰まで届き、手も大きくなったし、背も伸びた。
 豺狼のような大男には一生、届かないだろうが、
 それでも成人とさほど変わらない大きさであることは自覚があった。
「揚華」
 豺狼が、いつもと変わらない、犬でも呼ぶような口調で言う。
「なんだ、豺狼」
「今日は、お前一人で狩ってこい」
 もちろん、人の事だ・・・だけど、それはもう馴れた。
 ここで生きていく条件なのだから
「何故だ?」
 抵抗はない・・・弱い自分に迷いはあってはいけない。
 だけど・・・
「今日は、あんたの番じゃないか・・・変えたことなんて一度も」
「相変わらず、察しがいいな・・・・お前は」
 豺狼は、ハッキリと言った。
「知り合いが来る」
「!!」
 豺狼の今の境遇を見る限り、悪い予感しかしない。
「・・・・ああ、そうだ」
 笑った
「俺を殺しに・・・だが、俺がそいつを殺す」
「・・・・だから」
 揚華はため息をついた
「俺に出ていろと・・・加わるなと言うのか?」
 ああ、と豺狼は頷いた
「俺のけじめだからな・・・お前に水をさされたくない」
「解ってるよ」
 揚華は豺狼を見上げて言う。
「・・・・あんたは、どんな時でも一人で複数相手に戦ってるよな」
「まあな」
 豺狼は当たり前のように言う。
「俺に仲間など居ない、犬が一匹居るだけだ」
「・・・そうだな」
 それだけ言うと、揚華は出口に向かう。
 振り返る
 揚華は、豺狼を見つめた・・・強く目に焼き付けたかった。
「なあ、揚華」
 豺狼のほうから声が掛かった。
「俺は、昔から犬が大嫌いなんだ」
「え?」
 思いもよらない言葉に目を見開いた。
「犬は主人に好意を持っていても、あくまで下の立場で命令に従うだけの生き物だ」
 かみ締めるように言う・・・そんな風に感じた。
 だけど・・・
「・・・なら俺は」
 揚華は自然と言葉がでた。
「俺は、あんたの犬じゃない」
 威圧されてきた、何でも従った・・・だけど。
「あんたは俺を下の立場になんて置いてないからさ」
 豺狼は何も答えない
・・・豺狼らしいなと笑い、揚華は言う。
「・・・じゃあ、行って来る」
・・・・ああ、きっと
 夕暮れの赤い砂漠で揚華は沈む日を眺めていた。
 決着が付くまで待たなければ・・・
 相手は相当なてだれなのだろう・・・もしくは、よほど深い縁で結ばれた相手なのだろう
・・・どちらにしろ、帰ったときには・・・・
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