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十二章 決裂 桃源郷

 鴛鴦はイライラしていた。
 泰山のあの勝ち誇った表情と言葉が忘れられなかった。
「手放すのではなかった」
 今となってははっきりとそう思う。
 せめて、宝石に知識の長けた者に見てもらってから、手放せばよかった。
 ・・・泰山はあの石をどう使うのか
 手元になくなった今、もう、どうすることもないのだが
 それで泰山が、買った以上の利益があるのなら、悔しくてたまらない。
 そんな時だった。
 維邦が玉を出した時、予想通りの反応を鴛鴦はみせた。
「おお・・・これは」
 天に感謝した。
 これは、神が自分にやり直させるための機会なのだと
「どうしても、形見が欲しくて・・・無理を言って譲っていただいたのです」
 維邦は淡々と言う。
 鴛鴦の異常な目の輝きに、維邦はすでに幻滅している。
 確実に自分の物にしたい・・・そう考えている。
「無理を言っているのは承知だが・・・これを譲ってはもらえないだろうか」
「駄目です!」
 維邦は強く言った。
「これは、自身の命ほどに大事なもので・・・」
「タダとは言わん!!」
 鴛鴦は維邦にすがり付く。
「欲しいものを言ってみろ、なんでもくれてやる・・・だから、この玉をくれ」
「・・・・ふざけるな!!」
 維邦は鴛鴦を突き飛ばした。
 そのただならぬ雰囲気に、犬がギャンギャンと吠えたが、小心者の犬だ。
 飛びつくほどの度胸は無い。
 維邦がギロリと睨むと、犬は怯えて、奥へ隠れてしまった。
 体格がいいとは言え、相手は老人だ。維邦のほうが遥かに強い。
 維邦は鴛鴦の胸ぐらを掴んだ。
「俺はお前のなんなんだ!道具か?それとも蓮久のお守り役か?」
「馬鹿を言うな!!」
 鴛鴦は怒りをこめる。
「ワシが死んだら、財産はすべてお前の物じゃ。
 ・・・お前の物になるのだから、ワシがどう使おうと自由・・・何故、解らぬ?」
 維邦は殴ろうと腕を振り上げた・・・しかし
「あんたは殴る価値もない」
 胸ぐらを掴んでいた手を離す、鴛鴦はドサッと倒れこんだ。
「ワシの・・・ワシのじゃ・・・」
 それでも、鴛鴦は玉に手を伸ばし、懐に抱いた。
 奥に隠れていた犬が、トットット・・・と鴛鴦に近寄り。
 彼の顔を心配そうに舐める。
 ・・・ふん
 維邦は、汚いものを見るような目で、鴛鴦を見る。
 玉はもう一つある、二つ持っていくように言った紅錦香の助言は適格だった。
 ・・・こいつには失脚して貰わなければ。
 一刻も早く、財産を自分の物にしたい。
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