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十四章 灰色 桃源郷

 ・・・・・色彩がない世界。
 母が懸命に紅錦香の手を引いて歩く。
 母の腕には紫の班が
 ・・・流行病だ。
 食べられるものなら、なんでも口にした。
 病が悪化し、自分がもう長くないと解ると、母は紅錦香に自分の食料も与えるようになった。
 降りしきる雨が地面に跳ね返り、泥水がかかる。
 こんな日は誰も表を歩いてなどいない。
 物乞いなどできるような日では
 ・・・だけど
「どうか!開けてください」
 母が大きな屋敷の門を叩く。
「どうか!どうか!」
 もう何日も食べていないのだ。
 ・・・今日食い繋げられなければ、どちらも、もう生きられないだろう。
 この病気の母のどこにそんな力があるのだろう?
 いつまでも、いつまでも叩き続けた。
「うるせえな!」
 観念したように中から使用人の男が顔を出した。
「申し訳ありません・・・実はもう3日以上、何も食べていないのです」
 母は必死に土下座をし懇願する。
「この子にだけでいいんです・・・どうか、恵んでは頂けないでしょうか」
「付き合ってられるか!よそでやってくれ」
 男は間もあけずにそう叫んだ。
「おい!何をやっておるのだ」
 初老の身形のよい男が、騒がしかったのか、不審そうに近寄ってくる。
 ・・・恐らく、この家の主だろう。
「ああ・・・」
 母は必死で頭を下げた。
「・・・少し恵んでいただければすぐに立ち去ります」
 涙ながらに母はいう。
「・・・ん?」
 初老の男の目に留まったのは、紅錦香だ。
 すぐ近くにより、しばらく眺めた後、自分の着物の袖で、紅錦香の顔の汚れを拭いた。
「・・・これは」
 せいぜい5歳ほどの幼女だが、整った形をしている。
 切れ長の瞳に赤い唇
 飛天の女神・・・ふと、そんなものが頭を過ぎった。
「磨けば輝く石だ・・・良いものを手に入れた」
 老人は腕を握り屋敷へ連れ込もうとする。
 ・・・恐い・・・
「待って!お母さんを!!」
 必死で懇願する。
「お母さんを助けて」
「病気持ちなど、家にあげられるか!・・・おい」
 はい、と使用人が頷いた。
 剣を持った使用人は、母を門から追い出し、自身も外にでた
 ・・・門は外側から閉められた。
「・・・何をするの!?やめて!!」
 母は何をされるのだろう、恐ろしくてたまらなかった。
 老人はニヤリと笑ったが答えない。
「お前ぐらいの歳ならば、歌も、舞も好きなように憶えさせられる」
 自分の願いや理想など・・・すくなくとも、この老人は聞かないだろう
 ・・・恐い。
 私は何をされるのだろう。
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