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十七章 結果 金平糖

「紅錦香!」
 久々の再会だった。日が丁度、高い位置にある。
 維邦が訪れるのは仕事を終えた夕刻か夜が多かった。
 違和感を感じながらも、紅錦香はいつも通り、丁重に出迎える。
「・・・・」
 維邦の表情が険しい・・・頬がこけ、以前の明るく逞しい雰囲気からはかけ離れている
「何かあったのですか?」
 不安そうに尋ねる。
 ・・・とはいえ、そのきっかけを与えたのは自分だ。
 動向を冷静に推察しようとする自分が居る。
「鴛鴦が・・・・死んだ」
「!!」
 予想外だ、次の手も考えていたというのに。
「・・・まさか、維邦様が」
「それは違う!」
 維邦が力強く言う。
「獣に食いちぎられていた・・・誰が仕向けたかは解らない」
 ・・・真珠玉は結局見つからなかった。だが、維邦は諦めたわけではない。
「なんと・・・・」
 思っていた以上に簡単に事が運んでしまった。
 まるで、誰かが手伝ったかのように
 ・・・なんだか不気味だ。
「不安になる事はない」
 維邦は不敵な笑みを浮かべると長椅子の隣に腰掛けていた紅錦香を押し倒した。
「・・・何を」
「お前に会いたかった・・・ずっとそれだけを思っていた」
 腰紐に手を伸ばす。
 めくれた裾から、あらわになった太ももを舐め始めた。
「・・・そんな・・・まだ、日も高いのに」
 困惑しながら、紅錦香は言う。
 そんなこと関係あるかと維邦は笑った。
「・・・お前は」
 維邦は紅錦香の顎を持ち上げて、表情を堪能する
「一段と美しくなったな」
 唇を吸う。
 ・・・嫌だ!
 決して、醜い男ではない。何度も抱かれた。
 ・・・今でも、決して嫌いな訳じゃない。
「開花した花のようだ、香り立つ色香がまるで違う」
 足を、胸を・・・そして隠れた部分を執拗に舐る。
 紅錦香はただ、目を瞑り、時間が過ぎるのを願った。
 翌日、
 紅錦香はいつものように朝げを用意させ
 維邦はそれを食べる。
 いつも、この後、維邦は帰ってゆく。
 紅錦香は今、その時を強く願っている。
 ・・・すべては自分の計算通りだったはずなのに
 何でこんな気持ちになるのだろう?
 ううん、解っている・・・私は・・・
「維邦様、名残惜しゅうございます」
 いつも通りの別れの言葉を言う。
 ・・・しかし、いつもと維邦は様子が違った。
「いや、今日は帰らぬ」
 え?・・・紅錦香は目を見開いた。
「・・・もはや、すべての財産は私の物なのだ、しばらく帰らなくとも誰にも咎められぬ」
 不敵な笑みを浮かべる。紅錦香は困惑した。
「・・・ですが、奥様が心配するでしょう?」
「蓮久か・・・あの女なら等に居らぬ」
 ギラリとした恐ろしい目、紅錦香は思わず息を呑んだ。
「・・・追い出したのですか?」
「出て行ったのさ、死んだ義父を笑う私を見て、失望したようだ」
「・・・・」
 あの雨の日の光景が目に浮かぶ、
 紅錦香の手を掴み、引きずり込んだ老人・・・母をゴミのように殺した。
 維邦は紅錦香を抱きしめると、ベッドへ誘う。
 この男が、蓮久にした行為。
 ・・・それはあの老人が自分にしたことと寸分違わないように思われた。
「・・・・ああ・・・」
 嫌がっては駄目だ、抵抗したい行動を必死で抑える。
 しかし、体は硬直し全身が嫌がっていた。
「桃の花はすっかり散ってしまったな」
 ボロボロに疲れ果てた体、紅錦香は仰向けのまま、天井を仰いだ。
 満足した様子の維邦は、眺めの良い窓部屋から、外の様子を眺める。
「花が散ってしまうと、ここは寂しい所だ」
 つまらなさそうに、維邦は呟く。
「桃は散ってしまったが、お前はこれからさらに美しくなるのだろうな」
 心酔した様子で維邦は紅錦香を褒め称えたが、それは紅錦香の耳に届かなかった。
 ・・・何もかもが、空しい。
「お前は、ここに置くには惜しい」
 維邦は力を込めて言う。
 数ヶ月前、それは、一番、言って欲しかった言葉だった。
 そのはずだったのに・・・
「はい」
 心のない返事を呟いた。
「お前を正妻として迎えたい・・・共に来てくれるか」

「はい」
 そうかと、維邦は嬉しそうに言った。
 紅錦香に口付けをする。
 ・・・早く帰って
 ただ、それだけを願った。ただ、それだけ・・・
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